こんなことしかできませんが、「思う」ことや「祈る」ことをたくさんしようと思う。何語であれ。 フランス語を勉強している人は、どうぞこんな時にどんな風に気持ちを表現すればいいのかを学んで、どうぞ誰かに伝えてください。それは単に外国語を丸暗記するのではなくて、どうしてその言葉を使うのかをやっぱり日本語で理解して覚えて欲しい。(そうでないと覚えられないし忘れてしまう。) ここのところ、ますます強く思うのだけれど、語学を自分の生きている地面から切り離してはだめだ。
フランス語で「お悔やみ」の表現をする時、使われる言葉はいくつかあるけれど、一番よく見かけるのが
sympathie (サンパティ)
「シンパシー」、「共感」。
昨日は公民館の生徒さん達と、「もし自分が被災者の立場だったとしたら、どんな言葉を伝えられたら力になる?」と考えた。 語学をやっていなければ、紋切り型に「オクヤミモウシアゲマス」を唱えるだけだったかもしれないけれど、外国語のお陰でこうやって改めて考えることができる。 辞書を引けば、「同情」という言葉は出てくるけれど、もし私が被災者で「同情いたします」と言われたら、気持ちはわかるけれどきっとなんとなくもやもやしてしまうと思う。
すると、Kさんが 「あなた方と共にいます、という気持ち」 とおっしゃった。まさに、それが「sympathie」という言葉を使う理由なのだと思う。
Je tiens à exprimer ma sincère sympathie aux victimes et à leurs proches et à leur/nous souhaiter de trouver du courage pour surmonter ces épreuves. 被害者の方とその近しい方へ心からのお悔やみを申し上げます。皆様が、そして私たちがこの試練を乗り越える勇気を見つけられるように強く望んでおります。
tenir à + 原型:~することを切望する。何かを強く伝えたい時、何かをせずにはいられない気持ちを表す。 exprimer sa symapathie à qn : お悔やみの気持ちを述べる。exprimerの代わりにadresserでもOK。 surmonter : sur(~の上に)とmonter(上る)が合体した動詞。乗り越える。 épreuves:試練(複数で使う)。普段は試験、テストという意味でも使われる。「試験をする」という動詞はéprouver、綴りが違うので注意。
国連のパン事務総長の言葉は、この立場の人が言うから大きな力になるものだ。
[...] je sais qu’ils [les Japonais] surmonteront cette terrible tragédie. 私は、日本の皆さんがこの大きな苦難を乗り越えるということを確信しています。
未来形というのは、様々なニュアンスを醸し出せる時制。その豊かさには思わずイイコイイコしてしまいたくなる(フランス語おたくごころ)。ここではpouvoirの意味で使っています。 そして、savoirを現在形で敢えて断定的に使うことで、「あなた方ならできる」と、これもpouvoirを使わずして暗に励ますことができる。父性的な力強さがありながら、そっと背中を押すような母性的な表現になっているのです。 がんばろう。それしか言えないけど。