VERS LA RENTREE (新学期へ)

3月末、「たまの映画」を見に行った。とてもほっとして癒される映画だった。 私は「たま」というバンドについてはかろうじて「きょ~じんるいがはじめて~もくせいについたよ~」という歌と、風変わりな格好をしたメンバー(特に裸の大将がいる)、などの断片的な思い出しかなかったのだけれど、今改めて聴いてみると絶妙だなぁと思える。もうこれはないんだなと思うと残念だ。(柳原幼一郎はやっぱり映画にもでてこなかったし、たま復活はあり得ないんだろう。) 残念なんだけど、映画の中で紹介されたそれぞれの音楽(現在は個々にライブハウスで活動をしている)、表現の仕方もサウンドも全く違う、個性が生き生きと弾けているのを見ると、やっぱり解散してよかったのかもしれないなと納得する。元々、メンバーが全員ソロで活動できるひとたちの集合体だから、当たり前。それでも、彼らそれぞれのパフォーマンスの中に、音に、どこか繋がるものを感じる。みんな同じ「優しさ」が聴こえる。ああこのひとたちは離れなくちゃならなかったけれど、やっぱりどうしようもなく一体なんだなーと温かい気持ちになった。

EXTENSION 58の鈴木さんが 『「じっとしているよりもとりあえずちょっと動いてみよう。」との思いの中で、急遽、フリーライブを行うことにしました。』 というので、パルムに聴きに行った。狭い店内はすでにほぼ満席で、駐車場でばったり会った同じくエクステ斉藤さんと共にバンドの目の前を陣取ることに。 それにしても、斉藤さんにしろナビ君にしろ、適当な時間にふらりと来て、入った時にTRIOが「さて始めようかね」という感じだった、というところに何とも「息ぴったり」感を感じる。やはり同じバンドを組んでいるからなんでしょうか。

ただ演奏を聴くだけでなく、ドラムの青木さんがスーパーの現状を教えてくれ、今自分が何ができるのか、何をやらなくちゃならないのかということをもう一度振り返ろう、マスコミの流す情報に踊らされたり、噂やデマに振り回されないよう、情報を見極める勇気を持とうというメッセージを語り、仙台出身のDJ Ryo君が、メディアが取り上げない現地の惨状、自身のご家族や友達の話をしてくれた。被災していない自分たちが必要以上に楽しむ心を抑えない方が、きっといいのではないかというベースのおおのさんの言葉は、中越地震で被災経験があるひとだからこそできる発言だった。そこにいるみんなが真剣に「なにかできることをしよう」としていた。鈴木さんは募金箱を大切に抱えるあまり、自分の鞄を忘れるくらい。

今年は桜ソングよりも被災地応援ソングの花が咲いている。そんな中、ミスチルの桜井さんが「始めは、この状況で『自分ができることを』と歌を作ったり、歌で励ますというのはちょっとどうなんだろう、と抵抗があった」と言っていた。すごくまじめで柔らかい芽のような心を持ったひとなんだな、と思う。応援ソングの中にはとても聴いてられないものもあるから、彼のようにきちんと一歩下がって自問する姿勢は好ましい。

新津美術館に「堀内誠一 旅と絵本とデザインと」展を見に行く。 うちに「ロボット・カミイ」という絵本があったけれど、その作者だったとは! 雑誌「Olive」がなぜ「オリーブ」なのか、とか、「an・an」のパンダキャラクターはなぜパンダなのか、がわかったのも面白かった。堀内誠一が在仏時代に「anan」に連載していた「パリからの旅」は、パリジャンのくらしや作法が可愛い絵と共にこまごまと記されていて今読んでも面白い。 ぞう好きとしては、ぐるんぱもなかなか可愛い、けど、たしかに作者本人が「だんだんおじさんに見えてくる」と言っているだけあって、少々おっさんぽい(笑)。

「CDジャーナル」(ユーミン特集の号)に、今年は昨年亡くなったクロード・シャブロルの映画が3本日本で公開されるとあった。その中に「La fleur du Mal(邦題「悪の華」になると思う)」が入っていた!うちにあるDVDは仏・英バイリンガルで、生徒さんに見せることができなかったのでずっと残念だったのだ。シャブロルの映画はお上品な人々が出てくる割に結構えげつない死に様のラストが多いのだけれど、この作品は他のに比べればそれ程仰天するものではないし、役者が揃っている。父親役のベルナール・ルコックは本当に巧い。監督の息子トマ・シャブロルもなかなか良い味を出している。登場人物みんなが胡散臭いのがいい。

ラ・フォル・ジュルネはやることに決まったらしい。チケット入手。ヌメア(ニューカレドニア)からやって来る成嶋志保ちゃんの交響曲第7番リスト編曲版が楽しみ。 こうして、少しずつ日常に飲み込まれる。来週から新学期。 さぼっていたら情報が多くなり過ぎたので仏語部は次回にまわすことにします。