Voici "mes" mémoires.
昨日、明日のリサイタルのために、成嶋志保ちゃんと合わせてきました、「ロバの思い出」。
聴く度にいい曲だなぁ・・・としみじみ聴き入ってしまうラドミローの作品です。
志保ちゃんが弾くので、特に元気を貰えるのです。
この作品、フランスでは
ロバ(âne)=おバカ
というシェーマが浸透してるので、日本語でやるより皮肉の強い感じになるんだと思います。
まず、「馬鹿」なのに回想録を書いていること自体が設定としてかなりピリっときます。
その「馬鹿の象徴」(と、人間が勝手に決め込んでいる)ロバが描く人間の姿は、思慮の足りない、病んだ、意地悪な、動物を虐待して平気な、彼曰く、「ロバ並みのインテリジェンスを持ち得ない」ものなのです。
日本語にしてしまうと、この隠れスパイスが効かないのはどうしようもないことなのかな。
笑ったり、泣いたり、怒ったり、感情豊かなロバ、カディション君の姿が自然の風景の中で生き生きと描かれているピアノを楽しんでいただけたら、と思っています。
タイトルの「de l'esprit comme un âne(ロバの如き才気で)」
は、フランス語上には実際にない表現で、「Bête comme un âne (ロバのように間抜け、この表現は実際によく使われます)」に対抗して、作中カディションが作ったものです。人間どもよ、ロバ並みに賢くなれよ、との願いをこめて。