予想通り、一週間「あ」といっている間もなく過ぎる。試験は今週の水曜日からスタートしました。
Naie voir, tant n'atenderoie je mie; ains m'esquelderoie de si lonc que je verroie une misiere u une bisse pierre, s'i hurteroie si durement me teste que j'en feroie les ex mix a morir de si faite mort que je seusce que vos eusciés jut en lit a home, s'el mien non. Non, non, je n'attendrais pas tant, mais d'aussi loin que je verrais un mur ou une pierre de granit, je m'élancerais et m'y heurterais la tête avec une telle violence que je me ferais sauter les yeux jaillir toute la cervelle. Aucassin et Nicolette, XIV, GF-Flammarion, 1984, Edition Jean Dufournet. オーカッサン エ 二コレット。 12世紀の終わりから13世紀の始めの作品と思われる。「chantefable(シャントファーブル)」と呼ばれるスタイルはchanté(シャンテ。謡)とParlé : récit et dialogue(語り。物語と会話、つまりはファーブル)が交互に組み合わされていて、chantéの部分だけ見るとギリシャ悲劇のコロス(choeur)のような印象がある。次の語りの部分の要約をvers(韻文)で綴る。語りの部分はprose(散文)。 大人達に引き裂かれる若い二人オーカッサンとニコレットの恋・・・ロミオとジュリエット、ピラムとティスベのような悲劇を髣髴させる導入。 に、だまされてはいけません。フランスですから。 (ピラムとティスベもフランスですが) この頃に書かれた作品、FabliauxとかLe roman de Renartとか、こぞってロマン・クルトワ(騎士物語)をパロったものばかりで、このオーカッサンとニコレットもその仲間に入ります。 ニコレット(女)はカルタゴの王女なのですが、小さいときに異人さんにつーれられーてー、ブガー・ド・ヴァロンス伯爵に買われ(!)娘として育てられます。伯爵と長年喧嘩(戦争)をしているのがガラン・ド・ボーケー伯爵、オーカッサンはその息子なのです。 どうでもいいけど、中世の人名って半端じゃなく変な名前が多すぎる・・・ で、ボーケー伯爵は息子をだまして戦争にださせてニコレットを忘れさせようとしますが、オーカッサンは反抗。結局塔に隔離されてしまいます。ニコレットはニコレットで別の塔に養父に閉じ込められているのですが、抜け出し旅に出ます。その直前、塔の中と外でオーカッサンとの別れでのやり取りで、オーカッサンの涙の訴えが上の抜粋。 一応、ここはメロドラマな場面なのでしょうが、現代的感覚で読むと突っ込みどころ満載です。(最初のパラグラフが古フランス語、次が現代語訳) 国外へ逃亡するというニコレットに、オーカッサンは「君に最初にあった男は君を連れ去りベッドへ連れ込むだろう、そうなったら君はそいつの愛人になって僕の愛なんか忘れてしまうんだ・・・」とぶちぶち。続いて、「そんな君と再会する位なら今すぐ死んでしまったほうがどれだけましか」と、激しく愛を訴えるシーンなんですが。 嫌だ!こうなったらすぐにでも、壁か花崗岩でも見つけて僕は突進し頭から激突する!その激しさたるや僕の目玉は飛び出し、脳みそが噴出するのだ こんなこと言われて、百年の恋も冷めないっすかね・・・? その激しい一言が原因でニコレットは旅立ちを決意したのかもしれないよ・・・ まー、紆余曲折をへてハッピーエンドなんですが。 オーカッサンとニコレットが逃避行の途中で立ち寄る王国も、なかなかキてます。 女王が戦争に出かけて、王様は寝ている。 オーカッサンが様子を見に行くと、 「妊娠している」と言い張るんです、王様。 「生まれるまで寝てなくちゃだめなんだ、だから奥さんが代わりに戦争にいってるの」 この直後、王様はオーカッサンにお仕置きされます。 Aucassinって日本語で読みを書くとどうも「オッカサン」と見えてしょうがない。 古フランス語の試験勉強なので、フランス語もなんか「オェ」とか「ウェ」とかいう発音にやられておかしくなってます。語尾ツ現象もあり。 これからラテン語をやるので、発音はさらに混迷を極めてきそうでつ。