DID HE SAVE LA FRANCE ?

GSLF準備中・・・

なんの、かと言えば、4月からスタート予定のe-cor出張授業のひとつ、「パッション!フランス」の授業に向けての、です。 フランスを知るには、フランス人がおススメする、フランス人の悪口(!?)を書いた本を読むのが一番! アプローチの仕方が意地悪いなーと思いつつ・・・ イギリス人のジャーナリスト、ステファン・クラークの「ゴッド・セーブ・ラ・フランス」。 主人公は、フランスの精肉会社に引き抜かれてやって来た27歳のブリタニック、ポール・ウエスト君。フランス語レベル=初心者の彼にとって、パリとは、フランスとは、 une sorte d'océan. Un océan est un paradis - pour les requins. Il abonde en nourriture fraîche, et le premier qui vous emmerde, vous le coupez en deux d'un coup de dents.[...] La meilleure solution consiste donc à muter en reauin aussi vite que possible. 「大洋のようなものだ。大洋、それはパラダイス・・・サメにとっての。そこには新鮮なタベモノが豊富だから、むかついたヤツから順に、バリバリ喰っちまえばいいんだ。(・・・)最善の策、それは僕自身ができる限り早くサメになるしかない。」 多勢に無勢で頼りなげなポール君、このくだりに来るまでにすでにフランスの「文化」と「常識」という名のサメにバリバリ喰われてしまっているのですが、その実、彼の心のつっこみの数々が赤裸々に語られているため、読者のフランス人が痛烈に皮肉られているという構図になります。冒頭からつっこみの帝王のポール。 フランスに行ったことがある外国人は「あるある!」と頷くエピソードの連続技。 一張羅のポール・スミスできめて来る主人公、しかしながら、そこには受付嬢、同僚とのプライベートなおしゃべりが終わるまで徹底的に無視。更に、散々待たせた後、彼の名前を適当かつフランス語化してめちゃくちゃに伝え・・・これが、洗礼。 やっと英語が堪能なボスのところに通され、チームのみんなは英語がわかるから安心しなさい!と言われてほっとして顔合わせの会議にでてみたら・・・ 「I am chargèd of Haïti」(ハイチの責任者です) と自己紹介するフランス人スタッフ。はて、あっちの工場経験者ってことなのか・・・?いやいや・・・ひょっとして・・・ 「Oh, IT!!」 (フランス人は、本当にHが発音できないのか?と誰しも疑って止まないのですが、ハイチはフラ語的発音をすると「アイティ」になり・・・このスタッフは「IT担当です」と言っていたのでした。) というエピソードからうかがい知れる、チームの英語力。 更に、フランスチームが自信を持って挙げる新商品のプロジェクト名は My Tea Is Rich ! そんな訳の分からない名前、一体なんでイギリスっぽいのかというと・・・ 「フランスのどの英語学習参考書にも、必ず"My tailor is rich"という例文が載っている」からと言う・・・ とにかくなんとかそのサムいネーミングを必死で阻止すると、代替案として出たのは 「Tea's Café...」 もはや、これは何語なのかもわかりません。 ちなみに、「フランス人は 's がとてもイギリスっぽくてクールだと感じる」かららしく、スタッフの一人が気を利かせて例えとして出したのが 「Roll's Royceとか」 と、ロールスさんとロイスさんのタッグを「ロールさんのロイス」にしてしまうという、悪路バティック英会話。 この怒涛のネタ、とてもフィクションとは思えません。 ポール君はこの状態を「シュールレアリズムの世界」と名づけ、「ダリ先生が降臨した・・・」と魂が抜けそうになるのですが、この悪夢のようなナンセンスの坩堝は実際フランスに居るとかなりカジュアルに陥ってしまうのです・・・。 どうですか?フランス。怖いですねー。 ・・・なんだか、若干趣旨が違ってきたような気もしますが・・・ ここで紹介できないのがとても残念なのですが、作者が描いているフランス人独特のリズムと会話の振り方、無理やりうやむやにする、その力技などが本当にリアルに書かれていて、思わず夢でうなされそうな感じなのです。 さて・・・これ、授業で使うのはやっぱり爆弾かな~。 でも!日本に根付く「おしゃれで優雅で憧れのパリ・フランス人」信仰とは、別の視点があってもいいと思うんだけどなー。。。 夢は夢のまま覚めないほうがいいのでしょうか。 ま、そういう等身大の(やばい)とこも含めて、フランスが好きって言える人が増えたら、フランスにとってもいいことなのではないでしょうか(と無理やりまとめる。ア・ラ・フランセーズか?!)。時々プーするところも込で、すき、みたいな。