騎士が馬を捨てるは、己が誉れを捨てることなり。 況や、荷馬車に乗るとは。 一大事、一大事でござるぞ!!なんと向こうから荷馬車に乗った騎士がやって参りまする! ぬぁに~?荷馬車にと?! そのような奇人変人を生かして通すは兵の名において断じて許せぬ、者ども、出合え、出合え!!! 。。。。。。。。。。。。
騎士になるためのなんだかよくわからん厄介な仕来りといえば、ドン・キホーテの冒険談でも有名なシーンですが、かなりキテた憂い顔の騎士でも、一応は愛馬・ロシナンテに乗っかってたわけです。 ま、キショットさんの場合は一事が万事「見栄えから入る」という見かけ倒し精神に則っていたから、騎士アイテムを揃えるというのは当たり前なのかもしれません。
さて。こちら中世の騎士さまはというと、正統派です。ミステリアスな面影、一途にさらわれた王妃ギニェヴルを想い、若いねーちゃんに「私と今晩寝る(おとなのいみで)という条件をのむなら城に泊まって行っていいわよ」という、あーりーえーなーい、シチュエーション(この辺、今も昔も男のスケベゴコロが見る夢は変わらず)にも惑わされず。剣の腕も凄まじく、怪力は教会の坊さんもべっくら。さらに指にはめられたリングには妖精の力が封じられていて、いざとなりゃ呼び出せちゃう(らしい)。本人は淡々と人助けをし、男前の不言実行野郎。
だけど、荷馬車。 だけど、荷馬車に乗ってんだよ。頑固にゴロゴロと。
川原泉の漫画に出てきそうな主人公だ。 騎士が荷馬車に乗ってるっていうのが、当時の人々にどれだけショッキングでスキャンダラスなことかを、人々の驚愕のコメントたちから合わせて考えてみると、 警察官が制服着て、武器ももちろん携帯して、三輪車に乗ってる、位なんでしょうか。
それくらい、騎士が荷馬車に乗るってのは、いけないんです。
・・・という、話なのか?と、読んでいるうちにふと思いました。あと100ページ位の間に、何が起こるのかわかりませんが。とりあえず、騎士君ととらわれの王妃の間のfin'Amorは、騎士君が道の途中で見つけたこれ見よがしな櫛に残る麗しの王妃の頭髪のにほひをむふーっと嗅いで、なんかラリっている所です。
それにしても、12世紀ってどういう時代だったんだろ。 荷馬車に乗ってるってだけで、いきなり罵倒を浴びるわ、宿じゃ「あんた荷馬車に乗ってておかしいからこのベッドに寝ちゃダメ」とか言われちゃうんだもんなぁ。 だいぶ前にブームだった「語尾ツ」は、この荷馬車騎士物語の原文(古フランス語)の授業中に起こりました(私の中で)。
*お知らせ 3月一杯でミクシィ一抜けします。マイミクの皆さん仲良くしてくれてありがとう。ミクシィ経由でCorを見に来てくださっていた皆様(いつもありがとうございます)