What a dream !
多忙な一日だった昨日 : アロママッサージ→美容院→映画。
3歩歩けばカップルにぶち当たる・・・はて・・・と思ったら、確かに昨日はイヴイヴの祝日で、納得。
パティ・スミスを追い続けた11年を収めた「パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ」を見て来ました。
時期的にまたもや貸切になっちゃうかもと思いきや、意外にお客さんが入っていましたね。アダルティな客層はやはりでしたが。そして女子おひとり様が多し・・・かく言う私もカウントに貢献していた一人でした。
美容室でアシスタントのKさんが「一人で映画館とか行けるんですか?私、行ったことないですよ~」と驚いていたのですが、映画って一人で行くの楽しいと思う・・・。特に、私のようにあまりメジャーな映画館に入れない(大きなシアターでかかっている映画に食指が動かない)タイプは、一人で行かざるを得ないことが多いですし。
さて、パンク・ロックってあまりピンとこないんですが、パティ・スミスは朗読(ポエトリー・リーディング)が素敵です。ブレイク、ランボー、シルヴィア・プラス(私はテッド・ヒューズのほうが好きだけど)・・・彼女自身の詩も読んでみたくなりました。
それにしても、あれだけ周りの人がどんどん亡くなって行くなかで、それを悼みながら、痛みを感じながら生き続けるって拷問のようなのに、それがあるからこそ彼女なりの美しさが際立っているなぁと思いました。ちょいちょい若くて可愛かった(声も可愛かった)頃の映像がカラーで挟まれるのですが、モノクロで映し出される、年齢を経て男と見間違えるような現在の姿の方が断然魅力的に思えます。
最愛の人を失う、ということ・・・その姿、声、表情、匂い、体中のあらゆる感覚が記憶している「その人らしさ」・・・そういう断片が繰り返し繰り返し波のように寄せてきて、それがたった一つ力を与えてくれる光でありながら、同時にどうしようもなく彼女を苦しめるものでもある・・・
作品中、彼女は一言も泣き言を発せず、むしろ「フレッド(夫)はいつもここにいるの、一緒にいるのよ」と静かに語る。けれど、音のない彼女の悲しみや嘆きはまるでラウドなBGMのように全編を通して常に響き続けていました。
そうして「母として、ミュージシャンとして」そう言って立っている彼女は、文句なく格好良かった。
先日のVivement lundi ! の短編映画集の回で見てもらったフランス映画「Manon sur le bitume (アスファルトの上のマノン)」でも描かれていますが、
「幸せだって言う機会はたくさんあったのに、溢れてくる思いの強さに押しつぶされて言えなかった」
もしも自分が、そう言えないまま、もう会えなくなってしまったら? ・・・そう考えたら急に怖くなりました。
ジーン・ウエブスター「あしながおじさん」の最後の手紙に同じようなことが書かれています。
[...]The fear that something may happen rests like a shadow on my heart. Always before I could be frivolous and care-free and unconcerned, because I had nothing precious to lose. But now--I shall have a Great Big Worry all the rest of my life. Whenever you are away from me I shall be thinking of all the automobiles that can run over you, or the sign-boards that can fall on your head, or the dreadful, squirmy germs that you may be swallowing. My peace of mind is gone for ever--but anyway, I never cared much for just plain peace.
大切な物や人が現れると、永遠に「心の平和」は奪われてしまう・・・「もしそれを失ったら」という影が常に私に付きまとうのですから・・・失うことを恐れるだけのかけがえのないものを持たなかった私は、あまりにも暢気すぎました。けれど、あなたがいる今、私は生涯をかけて「大きな恐れ」と付き合っていくことになるのです・・・ という内容。ほんと、私も暢気すぎた・・・。照れくさいとか、言わなくてもわかるとか、そういうこと言ってる場合じゃない。 パティの場合、まさにこういった恐れが現実のものとなってしまったわけです(彼女自身はそれを恐れていなかったと思うし、きっと素晴らしいアイデアと言葉で常に彼女の愛情を伝え続けていたと思う)。 それでも「新しい冒険を続けることにした」と語るパティの強さに心を揺すぶられた。 せっかくのクリスマスだから、そういうことを静かにお互い考えて見るのも、未来を作っていくためにはいいのかなって思います。 Chers Internautes, chères Internautes, Je vous souhaite un très beau noël avec plein d'amour et de plaisir spirituel...