麹アイス日和。
「本日はお日柄もよく。」
アイスが食べたくなるほどです。
なので、朝のアトリエが終わった後、古町麹製作所のアイスをおやつに買うことに。ここ、一度試してみようと思いながら指をくわえて前を通り過ぎること数え切れなかったのですが、やっと念願叶いました。
白い麹のやさしい味がするアイスで、ほんわかしました。前々から麹は気になるやつでして、麹酵母を作ってパンを焼きたいと思って1年が経ちます・・・自分自身の管理もままならない今の状態で、酵母の面倒を見る勇気がわかず、干し葡萄から遠ざかってあっという間に1年。狂ったように酵母ちゃんと格闘していたあの日々はなんだったのだろう。
暇だったのだろう。単に。
なんだか、周りに影響されて「創作」がしたいなぁとうずうずしているのですが、フランス語の授業を作る以外の創作で何かやれるものを探している状態。いや、やりたいことはぼや~っとあるのですがね・・・
今日のクローズアップ現代は「言語力」をテーマにしていました。
「筋道立てて考えて、それを言葉にして相手に伝える」という力が不足している。なぜなのか、どうすればいいのか?という話。
ecorでは、「どう感じますか?」「どう思いますか?」「どうしてですか?」という質問をよくします。文法ひとつ取っても、ここが間違っている、と、いきなり指摘をしないで、できるだけ「どこかがおかしいです。どこでしょう?どうしたらいいでしょう?」と謎解きをギリギリまで自分でやって頂くように気をつけています。人によってはイラっと来るかもしれませんが、そこはしれっと気づかない振りをしつつ・・・
これは、私の師匠軍団のひとり、K先生の
「(フランス語のあらゆる)間違いは、『ま、いっか』というところに現れる」という言葉にヒントを得たもの。
外国語学習というのは、「終わりなき自己点検」とも言える作業で、書いたりしゃべったりしながら同時に文法・スペル・修辞のチェックをし続けることで成り立っています。この点検作業を途中で投げ出して、「ま、いいや」と思った瞬間に間違いが露呈する。
レベルが低いうちは、一言発する前に10考えなければならずへとへとになるのですが、レベルが上がれば上がるほどそれが無意識下で自動的にできるようになるので楽になるのです。だからこそ、普段から自分で間違いを見つけられるように慣れておくことが必要なので、自力で訂正できるように地道に「まちがいさがし」をやってもらっています。
模擬面接で、消防士志望の男の子が、それまで志望動機などを覚えてきた通りロボットよろしくぺらぺら話していたところ、突然、自分の出身地を紹介してくださいと試験官に言われて完全にフリーズしてしまう、というシーンが先の番組の冒頭にありました。
日本人特有だなぁ・・・
コメンテーターの鳥飼玖美子さんが、そういう時は「考えてもみなかった質問で、少々驚いて考えが上手くまとまるかどうかわかりませんが・・・」などと、言葉をつないで埋めながらその間に何か考えなさいとアドバイスしていましたが、これは彼女のように欧米語が堪能な人ならではの意見でしょう。
フランスでは、一般的に相手が居るのに沈黙するのは失礼に当たる行為となります。
「Le silence est d'or (沈黙は金)」という言葉は、フランス語にもありますが、実はその前に付くのが
La parole est d'argent (言葉は銀)
なのです。つまり、話術を持っているのに越したことはない、という前提での沈黙は英知を表すことができる。
空っぽの沈黙を奨励しているわけではないし、まして言いたいことがあるのに黙っているのは卑怯かアホか、どちらにしろ人並みの気遣いのできぬ奴という評価を与えられてしまいます。※追記参照↓
だから、フランス人はいちいち自分がやっていることを口に出して解説したりするのだ、と納得がいってからは、授業中に先生が「今私は今朝このカバンに用意したはずの皆さんに配る資料を探しています」といいながら自分のバッグの中に顔を突っ込んでがさごそしているのを見たりしても、「見つかるといいね」と思えるし、
電話の向こうで電話会社のオペレーターが「今あなたの名前をキーボードで打っていますよ~」と言うのを聞いても、「ごちゃごちゃ言っとらんで、早いこと私の顧客名簿を見つけてさっさと処理してくれ!」と腹が立ったりしなくなりました。
いい見方をすれば、常にエンターテナーであれ、という芸人魂のようなものがフランス人DNAには刷り込まれているのかもしれません。
文化が違うと沈黙のスタンスも変わってくるんですね。
とはいいつつ・・・日本人が昔から推奨する「不言実行」ってのは案外嫌いではなくて、誰の意見でも偏見なくじっくり聞き、沈黙の中からさっと解決に立ち上がる人というのは金色に輝いて見えたりします。
私なんか、すぐ「あれってこうじゃない?」「あ、でもこうも考えられるかもね」などとぴょいぴょい口から思ったことが飛び出てしまい、回転が速すぎてカラカラ空回って、人が話していることを注意深く聞いていなかったり、自分の思いつきに夢中になって上の空になっていたり、白い麹のような味わいが出るには、まだまだ修行がたりませ
ん。
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追記。
「沈黙は金、言葉は銀」について。
昔は金より銀の価値の方が高かった、という説があるそうです。それを考慮すると、やっぱり黙っているよりきちんと話すことの方がベターだと考えられていたのかもしれません。
ただ、このことわざがいつできたのかによってはコンテクストが逆転する可能性も。
いずれにせよ、フランスでは黙っているのは卑怯者、というイメージがありますね。