Comme la Loire...
文を書けども、下手の横好き
しゃべれども、流れは悪く
どうも、フランス語を集中的にしゃべった後に日本語の文章を書くと、節と節のつなぎがおかしくなる。
フランス語を集中的に書いた後は特に問題ないのだけれど。
たぶん、問題に気づいていないだけなのだろうけど。
まあいいや、れっせとんべ。
生徒さんたちと再会するごとに、「日常」が戻ってくるけれど、ここではあと少し、ほんの少し、旅行の余韻を楽しませてください。
今回の旅を一言で表すと「人」になる。
(-人-)ヒトねぇ・・・
なぜ人か。曰く。
新しい出会いがたくさんあったし、それが本当に嬉しい出会いだったことももちろんだけれど、それと同時に、それ程深く知らなかった方々をよく知ることができて、savoirが connaître になった。一人一人の新しい面を見ることができたのがすごく新鮮でした。あの人は、実はこんな趣味があったの!とか、この人は実はこんなにミニヨンだったんだ~とか、会話が楽しくて楽しくて仕方なかったです。
それに、もう随分知っているつもりでいたら、あらあら、それは私の作り出したイメージで、目の前の本物はもっと刺激的で面白かったり、意外だったり。だから、余計に大切になったし、もっと好きになっちゃった。
さて。
今回の旅行(に限らず毎度だけれど)で大活躍だったSちゃん。
改めて惚れ直しましたがな。
なにがって、まあ、どこまでもオテスに徹し、まかせとけ!とみんなを引き連れ、仕事をキャンセルし、さらに名演奏でみんなを唸らせ、目の下に隈を作ってドイツに発つ・・・本当に、友人として誇りの限りです。
もうちょっと、フランス語講師としての視点から賞賛させてもらいますと・・・
彼女のフランス語に、私は目から鱗が落ちました。
に、日本語に聞こえる・・・
いえ、決してSちゃんの発音がひどい日本語なまりとか、そういうわけではありません。
もう10年以上も在パリで、意思疎通に問題があるわけでもありません。100%フランス人は彼女の言うことを理解しています。
何が言いたいのかと言うと、説明するのがとても難しいのですが、彼女がフランス語をしゃべっている時と、日本語をしゃべっている時の「感覚」に、全くぶれがないんです。
彼女が
「Oui, je pensais à ça」 という時、私には「うん、そうだと思ったんだよね」と聞こえてしまうのです。
彼女に限らず、在ナント邦人の方々は皆さん普通にフランス語でしゃべるし、彼女以上に長年フランス語生活を送っているわけですが、彼らがしゃべっているのを聞いていると普通にフランス語に聞こえるのです。
こんなミステリアスな感覚は初めて味わいました。
彼女の日本語の心の声が、他の人よりも大きくてそれが私にはテレパシーのように聞こえてしまうのだろうか・・・?(それはそれで笑える)
けれど、フランス語でしゃべっている時は日本語では考えていないはずだし、いったいなんなんでしょう・・・と、一緒に居る間ずっと、実は密かにサーチしていたのでした。
これだ!という答えはいまだに見つかっていないのですが、手がかりになるものは見つけました。(ごめん、勝手にコバイにしちゃった)
Sちゃんはパリに住んでいる日本人らしからぬ(!)ところがあって、実は今も新潟に暮らしているんじゃないかと疑いたくなるような、フランスに旅行に来た日本人がほっとする空気を持っています。本人に聞いたら、それでも、昔は例の「同属差別」(Cf.パリ症候群)的な考えもあったりしたそうなのだけれど、今は本当に自然にパリの人で、日本人で、新潟の人で、Sちゃんなんです。どれもこれもが本当に自然。
そんなSちゃんの日仏語はもう完全にフュージョンしてしまっているのかもしれません。
しかも、独特のユーモアを持って、融合しているようなのです。
私は、普段考えている時や書いている時、聞いている時にはそのままフランス語にずるりと入っていけるのですが、しゃべる時は今も昔も「どっこいしょ!」とやらなければだめで、démarrerしてからもしばらくは言葉を失ったり、探したりしてしまいます。いったんモーターが回りだしたらあとは大丈夫なのですが、必ずエンジンをかける時にばすんばすんとエンストを起こす、その原因が彼女のおかげでわかりました。
常に、「正確に発音しなきゃ!」とすごい意気込んでいたんだと思います。それで却って力んでLとRを間違えたり、BとVを間違えたり(まるでファミコンのコントローラーのようだ・・・)、つっかかったり、ひっくり返ったりしてたわけです。
もっと自然に、日常でフランス語を!のスピーカーだった私が、実は一番だめじゃん!
うーん、確かに、生徒さんが面食らわないように、かなりフランス語をセーブしていたところもありました。
正しくなければ、しゃべらないほうがよいとも思ったり。でも、それではいかんのです。
そんなわけで、今後は「Travailler plus pour gagner plus*」の精神で(笑)、身体にフランス語を浸透させて行こうと決心したのでした。
* Travailler plus pour gagner plus はサルコジのスローガン。「もっと働いてもっと稼ごう」。寝言は寝て言え的。