豊作。
うちの庭にはプルーンの木があって、収穫→煮る→瓶詰めをしていると、秋だなぁーとしみじみ・・・ したいのですが、
32℃もあっては無理です。早く涼しくなってけれ~
先日ここでもお知らせしました中地区公民館の「フランスセミナー」ですが、 あれから応募が増えて、いい感じだそうです。 あ、そうそう、終了の時間が20時45分となるそうなのでご注意。 私の回は10月1日ですが、来週月曜日が参加者に配る資料の締め切りということで仕上げにかかっておりました。
参考資料として読んだ太田博昭 著「パリ症候群」は、豊富なケース紹介とわかりやすい論理で秀逸でした。 留学する前に読んどきゃよかった。これからフランスに留学するならぜひ一読をお勧めします。 行くのが嫌になりそうだけれど・・・
今から7年前に出版された本ですが、ここに挙げられているフランス人というものと、それにぶつかる日本人の関係というのは基本的に変わっていないのでは。フランス人のメンタリティがよく分析されているし、日本人のコミュニケートの仕方がどんな壁にぶつかるのかを詳しく説明されていていちいち納得。 著者の太田先生は、自分自身も一外国人としてパリに長く住んでいたから恐らく患者自身と似たような体験もあっただろうし、発症した日本人たちをここまで数多く診てきて、邦仏人それぞれに対してほとほと嫌になる場面に遭遇し続けただろうな、という匂いがします。が、そこは精神科医、感情とは切り離して淡々とフランス人という人種に切り込んで、簡潔に特徴を見せてくれます。
ただ、実際にフランスに行ってここに書かれているようなディープな経験をしてない人が読むと、フランス人というのはみんな気まぐれお天気な屁理屈野郎で付き合うのに苦労する変人集団、と思ってしまうのではないかなー。
ま、実際そういうことありありなんだけど(Oups!)。
わかっていても、改めてこうして羅列される「フランス人」の姿は衝撃的にヤな感じです。
以前から、自分も含めて、留学者は(程度に差があるだろうけれど)精神的に不健康にならざるを得ないと考えていました。だって、自分のアイデンティティをばらして組み立てなおすしかない状況だし。 この本を読んでみると、やっぱりパリに限らずほとんどの渡仏人が発症「予備軍」に含まれるんじゃないかなーと思いました。
まあ、当時の私のように狂っている人が、自分の狂いっぷりに気づくわけがないので、結局後になってみないとそのイタさを実感できないものなんですけれどね。
パリ症候群というのはどんな人々か、というのをここに抜粋すると・・・
- 学歴も知的レベルも高いが、直感的、感覚的で、論理性が低く、イメージ思考が優勢、プライドは高いほうである
- フランス、特にパリに対する過度の憧れや思い入れがある。憧れのパターンがより観念的でしかも視覚的(メディアによる情報の影響)。
- 憧れや思い入れにはさして深い根拠がない。ちょっと聞きかじった哲学や文学・評論を基にフランス・パリをイメージ化し、理想化している。
- パック旅行などで、すでに海外渡航経験あり。
- このたびのパリ滞在には、それほど強い動機や目的がある訳ではない。漠然とパリで勉強したい、あるいは将来、パリで仕事がしたいと思っている。
- フランス語はかろうじて談笑できる程度であるが、自己評価は実際よりも高い。
- 日本の社会、文化については、トレンドの話はよく知っているが、歴史的な知識が驚くほど少ない。
- フランス人の友人がほとんどいない。女性の場合、フランス人男性と同棲していることもあるが、フランス人の友人は少ない。
- 来仏当初は「フランス礼賛」の傾向があり、日本や日本人の悪口を手ひどく言う。
- じきにフランス生活に不平や不満を持ち、フランスやフランス人の悪口を手ひどく言うようになるが、結局は「フランス大好き、フランス人大嫌い」に落ち着く。
- フランス人からなんとなく馬鹿にされている、という内容の「被害意識」が常にある。
- 体調が優れず、疲れやすい。軽い自律神経失調症状が幾つかあり、気分の波は日本にいたときよりも大きい。
- フランス滞在の満足度はむしろ低いにも拘らず、さしあたって帰国する気持ちは毛頭ない。日本にいる親や友人には、フランス生活をエンジョイしているような手紙を書く。
- 周囲から帰国を勧められた時の反応は「やはりパリ、それでもパリ」となる。
私の場合、パリ生活にはあんまり興味がなかったので(だからナントに行った)、そのあたりの憧れや妄想は特になかったのですが、その他の項目・・・
学歴も知的レベルも高いが、直感的、感覚的で、論理性が低く、イメージ思考が優勢、プライドは高いほうである
→ 学歴も知的レベルも低いけれど、以下はマル。
このたびのパリ滞在には、それほど強い動機や目的がある訳ではない。漠然とパリで勉強したい、あるいは将来、パリで仕事がしたいと思っている。
→ ま、パリではなかったけれど、当時のモチベーションは非常に曖昧模糊としたものでした。ので、マル。
フランス語はかろうじて談笑できる程度であるが、自己評価は実際よりも高い。
→ これも、当たってましたな・・・今は討論できるけど、なかなか勝てない。勝てなくても別にいいよ。死にぁしない。それより、勝とうとしてアグレッシブになっている目の釣りあがった自分を見たくないのよ。
来仏当初は「フランス礼賛」の傾向があり、日本や日本人の悪口を手ひどく言う。 じきにフランス生活に不平や不満を持ち、フランスやフランス人の悪口を手ひどく言うようになるが、結局は「フランス大好き、フランス人大嫌い」に落ち着く。
→ これは、当初ありましたね。留学してから初めて短期帰省したときに、スーツケースをウンウン言いながら引っ張って地下鉄の階段を降りているのに誰も手を貸してくれなかったから。でも、最後に見かねたサラリーマンのおじさんが「どれどれ」と降ろしてくれたので「日本も捨てたもんじゃないぜ」と思ったっけ。 現在の私は「フランスも日本もまあまあ好き、日本人もフランス人も、むかつくけどお互い様。フランス語大好き」に落ち着いています。
今度フランス行ったら、またこの辺のバランスが変わるかもしれないけれど。日本に居るほうが、あらゆる面で楽かなーと思っていましたが、やっぱり書類関係でのたらい回しは日本でも変わらない。特に保険関係。
慢性的な疲れは常にありましたね。「わたしゃガイジンです」って額に書いてあるように少なからず感じていたし、語学学校のときは周囲との差をいかに気にかけないかに粉骨砕身・・・努力するところを思いっきり間違っていたし、大学に入ってからはダブらないようにするので精一杯だったし、その間色々とわけのわからない目にも合いましたし(笑)。
周囲と自分が明らかに違っているというのが落ち着かないくせに、同族(日本人)とは一緒にしないでくれ!というよくわからない差別化の狭間で勝手に参っていた時期がありました。
日本の生活でたまった毒が、フランスの持つ毒に吸い寄せられて全部出た、って感じで、とにかくフランス時代のわたくしは、誰よりもヤなやつでありました。 それでも付き合ってくれた方々を思うと、発作的に「ア゛ー!!」と叫んで逃げ出したくなります。 ナントに行った時に、毒を盛られたりしないといいな・・・・