12月は課題やスピーチの準備で忙しかったので、2週間ほどお休みをしていたバイト。久しぶりに復帰したのだけれど、これが今年の働き納めになった。 バベさんの奥さんは手先を動かすことが好きな人で、暇さえあれば洋服を作っている。この前はエルメスに行くというから、さすがマダムは行く店が違いますな、と思ったら、「スカーフを作ろうと思うんだけど、去年ウィンドウで見かけたおもしろい形のエルメスのやつを参考にするためのリサーチ」だったり。 わたしが彼らの家に週一回のお掃除人として働きに行くようになるちょっと前に、ポーセリンの絵付け講座を始めたらしく、たまに下絵や焼きを入れる前の乾かしているお皿なんかがサロンに置いてあったりした。 初期の作品は小さなものが多かったけれど、今は、貝型の大きなお皿に、うねる波をすれすれに飛ぶかもめとか、大きな丸皿に幻想的なお城とか、どんどん大作になってきている。 中でもわたしが気に入って、掃除機をかけたり戸棚を磨いたりしている間にいつも眺めていたのがこの小さなお皿。 筆先はまだ慣れておらず心もとない感じだけれど、素朴。火の鳥の赤ちゃんみたいな燃えるような羽と、首の青さがなんとも気持ちがいい。 奥さんはわたしがこのお皿を特別に気に入っているのを知っていたらしく、今日わたしを食堂に呼ぶと、お皿を包んでくれた。 「マリはいっつもこのお皿を眺めていたの知っているのよ」と、にやりとすると、「だから、あげます。ノエルのプレゼント。」 実は、バイトを止める時には思い出に譲ってもらえないかどうか聞こうと考えていた位、このお皿のことを思いつめて(!)いたので、ちょっとびっくりした。 プレゼントに一番必要な要素って、「思いがけなさ」なんじゃないかな、とふと思いました。「くるぞくるぞ」と思っているときに、期待していたものと違うものが来たりすると、ありがたいやらありがたくないやら、と途方に 暮れたりするけれど、全く予期していないときに何かを貰った時、それがたとえポストカード一枚でも嬉しくなったりするんだろうな。。。 そう考えると、クリスマスにプレゼントとか、バレンタインにチョコとかって、わかりきっているだけに難しい。 バベさんの奥さんは夏に手術をしたりして、体調があまり芳しくない。 どうぞ元気でいてください。